
- 角田 光代(かくた みつよ)
- 1990年『幸福な遊戯』で第9回海燕新人文学賞
1996年『まどろむ夜のUFO』で第18回野間文芸新人賞
1998年『ぼくはきみのおにいさん』で第13回坪田譲治文学賞
2001年『キッドナップ・ツアー』で第22回路傍の石文学賞
2003年『空中庭園』で第3回婦人公論文芸賞
2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞
2006年『ロック母』で第32回川端康成文学賞
2007年『八日目の蝉』で第2回中央公論文芸賞
2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞受賞。
- さて、第3回のゲストは、直木賞作家の角田光代さんです!宗像さんの原稿が終わって「さあ、次は誰にしようかなぁ?」と思ったら、宗像さんから電話がかかってきて「太田(和彦)さんと角田さんに連絡しといたよ!」という電話がありまして(笑)。
- 角田
- ふふふふふ。
- ブッキングまでやってもらっちゃったんですけど。だんだん、宗像さんの友だちの輪みたいになってきてますが、よろしくお願いします!
- 角田
- よろしくお願いします。
- 事前に挙げていただいたアルバムに関して順々にお聞きしたいと思ってるんですけども、僕、全部持ってます(笑)。
- 角田
- そうですか(微笑)。
- 太田さんの時はかなりマニアックなラインナップで。大慌てでCD揃えたんですけど、半分も知らなかったですねぇ。
- 角田
- いまでも売ってるようなモノなんですか?
- いや、入手できないのもありました(笑)。
- 角田
- あ、そうなんですか(笑)。
- だって太田さんの時は、選んだ8枚のなかで最新のアルバムがRCサクセションの『楽しい夕に』という72年の作品なんですよ?
- 角田
- ハハハハハ。
- 一番古いのが40年代だったりとか(笑)。でも今回、角田さんの選択したアルバムは「全部持ってる。下調べなし!」って感じで(笑)。
- 角田
- それはよかったんですかね?(笑)。
- いや~、非常に助かります。どういう順番でお聞きしたらいいですかね?
- 角田
- 年代順で大丈夫です。
- 最初に音楽を聴き始めたのは何からだったんですか?
- 角田
- 音楽そのものは、えっと歌謡曲とかですね。小学生のころで。それで、中学とか高校はサザン(オールスターズ)とかが好きだったんですよ。それで、大学生になってRCの野音を初めて観て「いままでの私はなんだったんだろう?」っていうぐらい好きになって。
- へぇ~~。著書でも書かれてましたけど、野音はお友だちに連れていかれたんですよね?
- 角田
- そうですね。
- その友達は、「角田さんだったらこういうの好きだろうな」と思われたんですかね?
- 角田
- いや、たぶんチケットが余ってて、仲が良かったから誘ってくれたんだと思います。
- はぁ~。その時はRCはご存じだったんですか?
- 角田
- はい、もちろん。
- 知ってる程度でレコードは持ってなかったと。
- 角田
- はい、はい。
- RCサクセションのステージを初めて観て、どう思われましたか?
- 角田
- 「カッコいい~~~~~!」と思いました(笑)。
- ダハハハハハ!
- 角田
- カッコいいというものの概念が覆ったというか。私がいままで思っていた「カッコいい」はなんだったんだろうって。
- へぇ~~~。それまでも映画や小説やいろんなカルチャーにも触れていたと思うんですが、それらとも違いましたか?
- 角田
- それがね、音楽だけじゃなくて映画も全部含めて、そのどれとも違いました。私、高校まではずっと同じ学校だったんですよ。
- 女子高だったんですよね。
- 角田
- そうです。人員もあまり入れ替わりもないし、情報も限られていた。大学に行って初めて外の世界に行って。同世代の男を久しぶりに見たりとか(笑)。
- 高校時代までは学校以外で遊んだりしなかったんですか?
- 角田
- いや、遊んではいましたよ。お芝居や映画を観たり、音楽も聴いてるつもりだったけど、「自分が好きなのはこういうもんだ」って思い込んでたんですよね。
- そういう時期にRCを観ちゃったと?
- 角田
- そうですね。
- RCの野音は夏の恒例のイベントですけど、選んでいただいたアルバムは『the TEARS OF a CLOWN』。これは日比谷野音の模様を収録したライヴアルバムなんですが、角田さんが行かれた野音というのは、まさにこの日なんですか?

-
Disc 01
『the TEARS OF a CLOWN』
RCサクセション
Amazon
- 角田
- そうです。
- へぇ~~~。俺も最初に買ったRCのアルバムは『the TEARS OF a CLOWN』やったかなぁ?これはいいアルバムですよねぇ?
- 角田
- ねぇ~~~。
- そこからのめり込んでいくわけですか?
- 角田
- はい、はい!それでファンクラブに入って。
- 入りましたか(笑)。
- 角田
- はい(笑)。チケット取るために。麹町まで行けば電話がつながりやすいと聞いて行ってみたり(笑)。
- そういう噂、ありましたねぇ(笑)。インターネット以前ですよね。ぴあに電話してチケットを取るという。
- 角田
- ねぇ。
- ちなみに僕は国会議事堂の前の公衆電話で電話をかけたら、ぴあに簡単に繋がるって聞きました。電話の回線が緊急用で特別だって言われて(笑)。
- 角田
- アハハハハハ。
- たかだか16~7年前の話ですよね。まだ電話でチケット取ってた時代ですからね。
- 角田
- そうですよね。本当に国会議事堂の前からかけたんですか?
- かけました、かけました。まったく繋がりませんでしたけど(笑)。
- 角田
- アハハハハハ。
- 考えてみたら、国会議事堂の前の電話ボックスが緊急対応しても、あまり意味ないですもんね(笑)。
- 角田
- 都市伝説ですよね(笑)。
- RCは何が違ったんですかね?ほかの数多のバンドと比べて。
- 角田
- 歌詞が凄く良かったとかはもちろんあるんでしょうけど、なんかそういうことじゃないんだろうなっていうのがね、あります。
- ほぉ。
- 角田
- たぶん自分にとっての本物が何かというのを知らずに生きてきて、それは誰にとっても本物というわけじゃなくて、「自分にとっての本物に会えた!」って感じだったと思うんですよね。
- はぁ~~~。