- 凄い伝説ですねぇ。で、続きましては?
- 吉田
- やっぱり、ラフィンかなあ。

-
Disc 06
『LAUGHIN’COMPLETE AA TRACKS』
ラフィン・ノーズ
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- 僕、WOWOWでドキュメンタリー(『ラフィンノーズという生き方』)観たな、何年か前に。
- 吉田
- いや~、いまでも元気だよ。いろいろあったけど、復活してからがさらに良くなってて。復活一発目の完全ハードコア化したセルフ・カヴァーアルバムでやられたね。何が感慨深いって中学時代ぐらいから死ぬほど好きなバンドなんだけど、取材で接点が出来て。で、(ボーカルの)チャーミーさんは実は根本敬先生とかが大好きなんだよね。
- へぇ~、そうなんや。
- 吉田
- 根本先生との対談で緊張しすぎて話せなくなるぐらいピュアな人で。
- それはキュートだ(笑)。
- 吉田
- だから取材のときに、そのとき出たばかりだった根本さんの『真理先生』って本をプレゼントしたら、すごいテンションで喜んでくれて(笑)。で、阿佐ヶ谷ロフトで掟ポルシェとかと一緒にラジオのイベントをやってるんだけど、そこにチャーミーさんが「遊びに行っていいかな?」って言って、実際に来たことがあったんだよね。で、ボクが出てたラジオのこととか当然何も知らないのね。
- ええ。
- 吉田
- でも、ボクらが話してる内容がわかんないときは周りのお客さんに「どういう意味?」って聞いて、いちいち学習してドカンドカン笑ってて、「トークイベントっていうのは初めて来たけど最高やな」って大喜びしてた(笑)。
- わはははは!
- 吉田
- 客席でずっと最後まで観てて、終わってから「ホンマおもろかったわぁ」って感激してたという(笑)。最初、予定を変えて、チャーミーさんのためのネタを掟さんと2人で20分ぐらいやったりしたんだけどね。
- サービスで(笑)。
- 吉田
- ホントおもしろい。
- さて、続きましては、元KENZI&THE TRIPSのKENZIですか?

-
Disc 07
『KENZI ‘84~’86』
KENZI&THE TRIPS
- 吉田
- メジャーデビュー前のソロ名義時代は異常にカッコいい。前身のスマ・ロ子のデモテープとか、いまでも聴いてるぐらいで。KENZIを取材したときに聞いたんだけど、まだ黎明期のブルーハーツとよく対バンしてて、KENZIが初めて、ああいう破れたジーンズを穿いて、のちにビートパンクと呼ばれるような音をハードコア全盛期の頃に最初に作り上げたんだよね。
- あ、知りませんでした。
- 吉田
- で、KENZIが言ってたのは、当時共演したヒロトに「なんで、そんな破れたジーンズ穿いてんの?」って聞かれて、もちろんラモーンズとかの流れではあるんだけど、そのあと、ヒロトも破れたジーンズを穿くようになったからビックリしたって。
- ヒロトは元々モッズファッションですもんね。
- 吉田
- そうそうそう。マーシーも含めて、ブルーハーツは本来モダンな人たちがあえてああいうバンドをやったっていう。
- まぁ、戦略ですよね。だから、ブルーハーツはそのへんがクールというか、その後のジュンスカとかとは違う感じがしますけども。
- 吉田
- 80年代前半の頃はスターリンもスタークラブもメジャーデビューのときはそのままの音で出てたんだけど、80年代の中盤はどのバンドもメジャーデビューするときはメジャーに合わせるようになったんだよね。
- 合わせたし、合わせることを強いられたし。
- 吉田
- そこには大人がいろいろ絡んできたのもあるよね。ラフィンからウィラードからKENZIからガスタンクからみんなそうなんだけど、インディーズの時の音が評価されてメジャー・デビューしたはずなのに、急にハードロック化したりとか、ポップ化したりとか、何かメジャーっぽい音作りになっちゃって。そんななかで何も変わらずデビューしたブルーハーツが際立ったという。
- なるほど。あと、甲本ヒロトなんて、言うたら根っこはチンピラですよ、あの人も。
- 吉田
- ハードコアな人脈の人でもあったしね。だから、自分の中ではブルーハーツまではあり。
- それはわかりますね。はい、続きましては……お、意外、BOØWYですか?

-
Disc 08
『INSTANT LOVE』
BOØWY
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- 吉田
- BOØWYはファーストとセカンドが大好きで。布袋のモダンな楽曲に、氷室京介の凄い芸能界臭というか、歌謡曲臭のある歌い方、プラス不良感のある歌詞&たたずまいが噛み合わさることで奇跡が起きるっていう(笑)。
- BOØWYがあんだけデカくなったっていうのはヤンキー文化に受け入れられたっていうのがありますよね?
- 吉田
- もちろん!完全にヤンキー文化。やっぱり、チンピラ感だよ。
- 適度な感じが良かったんでしょうね。
- 吉田
- Xもヤンキーに受け入られたからあそこまでいったわけで。
- はいはい、そうですよね。
- 吉田
- それ以前の(横浜)銀蠅の頃のヤンキーは、アナーキーやスターリンは聴いてたんだけど、そこからパンクにはあまり流れなかったんだよね。ハードコア周辺ぐらいで。
- なるほど。
- 吉田
- だからBOØWYがちょうどよかったんだよね。当時、『INSTANT LOVE』のデモテープが当時出回ってて、『INSTANT LOVE』とモッズのデビュー前のデモテープはすごい聴いてた。
- へぇ~。

- 吉田
- 昔からデモテープマニアで、いまだにデモ好き。知り合ったミュージシャンにデモをねだるっていうのはよくやってる(笑)。
- わははは!そうなんや(笑)。
- 吉田
- ヒャダインさんとかにももクロの『怪盗少女』デモとかをもらって、それはホント最高。デモ音源をみんなで聴いて曲が完成していく変遷を追うイベントをやったりして。ホント好きなんだよね。
- 「原型はこれなんや」っていう。
- 吉田
- だから、知ってる人からCDの帯文とか頼まれたときに「ギャラとかいらないんでデモ音源をください」とか頼むぐらい(笑)。
- ギャラいらんっていいですね(笑)。